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医療モール.com ドキュメント「八芳メディカルコミュニティ海老名がオープンするまで」

このページでは「コーポラティブ・タイプ」の原点となった「八芳メディカルコミュニティ海老名」オープンまでの過程を追いながら、「コーポラティブ・タイプ」での開業の実際をレポートしたいと思います。

01. 西野医師の参加 02. プロジェクトの始動と、クラフト株式会社の参加 03. 山中医師の参加 04. オーナー様の参加〜診療圏調査、交渉 05. プロジェクトの本格始動 06. オープン

01.西野医師の参加

小児科医の西野医師は、所属大学の関連病院に勤務していましたが、2003年、L.A.メディカルマネジメントが開催した医師を対象とした独立・開業セミナーに参加しました。

西野善泉 院長/にしのキッズクリニック

「それまで開業なんて考えたこともなかったんですよ。でもその日の個別相談の担当の方の『地域が必要としている医療を共に実現しよう』という呼びかけに打たれました。この人たちと開業しよう、とすぐ相談しました」西野医師は顧問契約を結び、自宅に近い横浜市を中心に候補地を探しはじめました。一度は、あとはサインだけ、という段階まで進んだ計画もありましたが、西野医師は直前でその場所での開業を断念しています。
「勿論、条件は悪くなかった。ただ、気になったのはすぐ近くに調剤薬局がないことでした。──小児科の場合、薬の処方も細やかにならざるを得ないですからね──あらためて『自分はここでの開業に納得しているか』って考えたら、どこかに素直に頷けない自分がいた。悩んだ結果、計画を白紙に戻しました」

それでも、西野医師は開業を諦めたわけではありませんでした。
「自分なりに開業の条件を整理するいい機会でした。自分自身がすべて納得して開業しようと決めました。L.A.メディカルマネジメントもその時に終始真摯に対応してくれたので、一層、信頼を深めました」

02.メディカルコミュニティ®プロジェクトの始動と、クラフト株式会社の参加

その頃、L.A.メディカルマネジメントでは、医院の不足する郊外を中心に、日常医療の基盤として医療モールを展開する企画が持ち上がっていました。──メディカルコミュニティ®プロジェクトのスタートです。
最初の候補地として神奈川県横須賀市の「湘南山手」が選ばれました。
郊外に戸建型の医療モールを展開する、というどこにもまだノウハウのないプロジェクトの実現には、解決すべき課題がたくさんありました。そのひとつが、西野医師もこだわった調剤薬局です。

メディカルコミュニティ®湘南山手

「医療モールには注目していました。」湘南山手に調剤薬局『さくら薬局』を出店したクラフト株式会社代表取締役常務・大塚敏氏はそう語ります。「それまでにも不動産事業者などから医療モールに関するお話はありました。しかし彼らのほとんどが開業した後のことに興味をお持ちでなかった。医療ビジネスは彼らの本業ではないですからね。しかし、ドクターは勿論、私たち薬局にとっても、開業そのものより開業した後のほうが大事です。──L.A.メディカルマネジメントの計画からは、長期的に医療を展開していく視点で考えていることがひしひしと伝わってきました」クラフト株式会社では専任スタッフがつき、全面的な協力体制が敷かれました。
そしてメディカルコミュニティ湘南山手オープンの日を迎え、大塚氏はさらに大きな手ごたえを感じることになります。

「早朝、モールの前に立っていたら年配の女性が一生懸命、自転車をこいでいらっしゃったんです。聞くと随分遠い場所からでした。『ここの先生はいい先生だから、ちょっとぐらい遠くなったって、この先生の病院に通う』その方はそうおっしゃったんです。──そういう風に慕われるドクターが集うプロジェクトに私たちは参加しているんだ、と実感しました。」

こうして湘南山手のプロジェクトを通じて、L.A.メディカルマネジメントはクラフト株式会社をはじめとする後につながるネットワークを形成し、コーディネータとして、そしてプロジェクトマネージャーとしてプロジェクトを推し進めていくノウハウを熟成しました。

03.山中医師の参加

山中医師は、脳神経外科医として西東京の病院に勤務していましたが、2003年頃から開業にむけ候補地探しを始めました。CTやリバビリテーション設備の導入を考えていた山中医師にとって、広いスペースが希望でした。

山中成人 院長/やまなかクリニック

「最初はビルのテナントを借りようと思ってたんですけど、どこも結構な予算になるんですよね。2004年の夏くらいだったかな、『考えていたスタイルに無理があるかな』、そう思い始めた時に見つけたのがメディカルコミュニティ®なんです」
戸建てで十分なスペースをとれ、来院客むけの駐車場もある、しかも賃貸。
──山中医師はすぐ連絡をとりました。
「物件よりも人でしたね。この人たちなら任せられる、と思ったんです」それまでにも数社、開業を支援する企業と相談していた山中医師は、そこがポイントだったと語ります。
「まずヴィジョンがしっかりしていたし、それを共有していこうという姿勢が感じられました。自分も理想を実現できると思いました」

山中医師も、開業にむけてL.A.メディカルマネジメントとの顧問契約を結ぶことになりました。

04.オーナー・岡本氏の参加〜診療圏調査、交渉

前述の西野医師が参加したセミナーで個別相談を担当していたL.A.メディカルマネジメントの取締役COO柴崎望は、ドクターだけではなく、不動産所有者にむけても、地域におけるかかりつけ医院の必要性、事業としての医療モール賃借ビジネスの将来性や地域への貢献について講演していました。
2004年の秋、そんなセミナーの一つに参加したのが、海老名地区に多くの不動産を所有する岡本氏でした。岡本氏は、オープン間近のメディカルコミュニティ湘南山手の視察ツアーにも参加し、プロジェクトに興味を持ちました。
「例えば、こんな土地をもってるんだが」岡本氏は、具体的な話を聞いてみたいと、所有していた海老名の土地のことを例にあげました。
海老名は東名高速道路のサービスエリアがある場所として有名ですが、小田急線・相鉄線が乗り入れる駅周辺への大型商業施設の出店や、大規模集合住宅の建築、住宅地の造成などで、今後さらに人口の増加が見込まれる地域です。
岡本氏の土地は、その海老名でも駅から徒歩圏の住宅地にあり、医療モールの候補地としても有望でした。L.A.メディカルマネジメントでは、岡本氏に具体的な事業計画の提案のため、診療圏調査を実施しました。

診療圏調査では、その場所に医院が出来た場合にどのエリアの住民の来院が見込めるか、どの程度の人口があるのかを調査し、診療科目ごとの開業適性を分析、長期的な医院経営環境を調査します。
医師を開業支援する多くの企業がそのプログラムに「診療圏調査」を掲げますが、L.A.メディカルマネジメントによる診療圏調査の一番の違いは、現地でのヒアリング調査など手間のかけ方と言っていいでしょう。

「実際に住民の方の声をお聞きするのが一番です。私の場合を正直にお話しすると『今度、こちらに引っ越してくるんですが……』と切り出し、付近にいい小児科はあるか、年をとった親が通える医院はあるか、と相談します。──自分が引っ越すのではないので少し良心の呵責はありますが、地域が必要としているドクターに開業してもらうことが出来れば、住民の方への恩返しになりますしね」
これは海老名の診療圏調査に関わったスタッフのコメントです。

こうして得られた候補地の分析結果は、岡本氏の土地が非常に有望であることを裏付けていました。しかし、岡本氏との交渉には予想を上回る時間を要しました。一番の要因は、マンションやテナントビルなど多くの不動産事業を手懸けてきた岡本氏にもすぐには判断のつかないほど、様々な法律や手続きが絡み、関係者の数も非常に多かったことでしょう。
L.A.メディカルマネジメントは、そうした課題の整理や関係者間の調整を行いながら、じっくり岡本氏を説得していくしかありませんでした。

診療圏調査では、内科、小児科、そして脳・神経科などの診療科目が有望という結果が出ていました。L.A.メディカルマネジメントでは、該当科目のドクターからも意見を聞こうと、まだ駐車場だった候補地へ西野医師と、山中医師を案内しました。二人は口を揃えてこの地での開業を希望しました。L.A.メディカルマネジメントでは、海老名でのプロジェクトをこの二人の医師と共に必ず実現しようと決め、西野医師と山中医師にメールアドレスを交換してもらうなど、医師同士のコミュニケーションをはじめてもらいました。

オーナー岡本氏に二人の医師の希望が伝えられると、ついに協力を約束してくれました。

05.「八芳メディカルコミュニティ®海老名」プロジェクトの本格始動

2005年春、オーナー岡本氏の協力が決まってプロジェクトは本格的に始動し、ドクターを交えた具体的な施設のプランニングが始まりました。

待合室/にしのキッズクリニック

小児科の西野医師は、特に待合室にこだわりを持っていました。
「裸足で歩きまわる子供を親が安心して見ていられる場所、そんなイメージが頭にありました。リラックスしたお子さんの姿を見れば親御さんも少しは安心できるのではないかという思いです。」
待合室の床に床暖房を入れ、天井は吹き抜けにして天窓をつけたい、西野医師の希望は具体的でした。
おたふく風邪や水ぼうそうなど感染しやすい病気の患者さんもいらっしゃいます。他の来院者のために、もう一つ別の玄関と診察室を用意することにしました」

CT設備/やまなかクリニック

内科・脳神経科の山中医師の場合のこだわりは、CT設備の導入でした。「最初は反対されましたよ。『初期コストが膨らめば、経営の安定化がそれだけ遠くする』それはわかる。だけどきちんと頭の中を診て患者さんを安心させてきた僕の場合、CTなしでは自分にできる医療は成立しない、そうお話ししました」

山中医師のこの言葉を聞き、L.A.メディカルマネジメントでは、医師の考える医療を実現することこそ自分たちの仕事だと考えました。当時をCOOの柴崎はこう振り返ります。「ドクターが確固とした理想やスタイルを持っていることは寧ろ、喜ばしいことです。
その理想やスタイルの実現し医院の経営の面でも成功へ導いていくのが、プロとして関わった私たちの使命なんですね」

調剤薬局「さくら薬局」を出店したクラフト株式会社からは、共用の集会スペースの提案がありました。「従来の調剤薬局は、すぐ側の医院の患者さんだけを対象にしているような閉鎖的なイメージがあったと思います。もっとオープンで、住民の方に気軽に立ち寄れる場所を目指そうと考えていました。その上で、さらに健康管理や病気予防の情報を発信にも利用できる、地域のふれあいの場所を共有できないか、と提案しました」
集会スペースはL.A.メディカルマネジメントでも同様の構想があり、すぐ計画に盛り込まれました。2005年秋、着工にあたりオーナーの岡本氏は、ドクターのためにも少しでも早く施設を完成させてほしいとリクエストしました。
施工を担当した積水ハウスでは通常の2倍のスタッフを作業にあたらせ、そのリクエストに応えました。そのおかげで、ドクターたちの開業にむけた準備も余裕を持って進めることができました。

「八芳メディカルコミュニティ®海老名」オープン

2005年11月、「八芳メディカルコミュニティ®海老名」はオープンしました。西野医師や山中医師の参加から数えると2年数ヶ月の月日を要したことになります。

「まだ始まったばかりです。すべて順調だし不安はありませんけどね」「皆さんのご協力で環境は整えてもらった。ここからは僕にとっての本番ですよ」

晴れて院長となった二人のドクターはそう言います。そして今日も、メディカルコミュニティ®プロジェクトは、海老名でのよりよい日常医療の提供のために西野医師、山中医師、そしてさくら薬局を中心に進行中です。
L.A.メディカルマネジメントも、開業前と変わらず、医療と経営の両面からドクターたちをサポートしています。
ドクターにはそれぞれが持つさまざまな理想やスタイルがあります。それを実現し、医院経営の面でも成功へ導くことが、L.A.メディカルマネジメントにとっての使命です。
L.A.メディカルマネジメントでは、このプロジェクトでの培ったノウハウとプロジェクトの進め方を広くパッケージとして提供することに決めました。こうしてまとめられた開業支援プログラムが、「メディカルコミュニティ®コーポラティブタイプ」となりました。

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